この記事では、実際にプラント設計会社で働いている私が仕事の内容を紹介します。
プラント設計は大規模な施設を設計する仕事で、目の前にないものを設計する大変さもありますが、完成したときの爽快感は他の仕事ではあじわえない仕事です。
- 転職先を探している
- 建設業界での経験を活かせる仕事がしたい
- プラント設計に興味がある
施工管理や建築設計士としての経験を活かせる転職先は、ゼネコンや設計事務所だけではありません。
プラント設計のことを知れば、他の人が気がついていない穴場の転職先が見つかるかもしれませんよ。

<ライタープロフィール>
やまだ
- 一級建築士
- 専門は構造設計
- 2度の転職を経てプラント設計会社へ
プラント設計とは
プラント設計とは、工場や発電所などの産業施設を設計する仕事です。
プラント設計者はクライアントの要望をもとに、
- 最適な設計や工程フローの作成
- 設備の配置
- 材料や部品の選定
- 安全性や環境面の考慮
など、様々な要素を考慮しながらプラントを設計します。
プラント設計には、建築士が活躍する場面もあるけど、主に機械・電気・土木分野の技術者が中心となっているよ。
※リベルタさんへ 青のハイライトは吹き出しのつもりで書いています。
プラントの種類
プラントには複数の種類があります。
プラントの種類 | 施設の概要 |
発電プラント | 電気をつくる施設、いわゆる発電所 |
石油プラント | 石油化学製品を生産する施設 |
ガス処理プラント | ガス田で取り出された天然ガスから不要物や環境汚染物質、水分などを除去し、冷却を行って液化する施設 |
ゴミ焼却プラント | 廃棄物を燃やして処理すると同時に、エネルギー資源として発電する施設 |
水処理プラント | 汚水や排水を処理し、水質を改善するための施設 |
食品プラント | 加工食品や飲料などを生産する施設 |
などです。
私たちの快適な生活には欠かせない施設ばかりだね!
プラント設計で有名な企業
プラント設計で有名な日本の企業は以下です。
企業名 | 事業内容 |
日揮ホールディングス | エンジニアリング会社の日本最大手企業。主な業務は、「製品を作る製造設備を造る事」。製造設備の内訳は、石油精製プラント、石油化学・化学プラント、LNGプラント、天然ガス処理プラント等。 |
千代田化工建設 | 石油精製、石油化学、天然ガス液化などの大規模プラントのEPC一括請負業務で国内外に多くの実績を持つ。 |
栗田工業 | プラント事業(用水処理事業、排水処理事業)、水処理薬品事業、土壌・地下水浄化事業 |
東洋エンジニアリング | 石油精製、石油化学、肥料製造、船上プラント(FPSO)、発電所、鉄道などの大規模プラントおよびインフラ設備のEPC業務で国内外に多くの実績を持つ。 |
メタウォーター | 浄水場・下水処理場・ごみ処理施設向け設備などの設計・建設、各種機器類の設計・製造・販売、補修工事、運転管理などの各種サービスの提供。 |
各社HP、Wikipediaより
SONYやトヨタのように普段の生活で目にすることはありませんが、どの企業も高い技術力を持っています。
それぞれ得意分野があるので、気になる企業があれば調べてみましょう。
プラント設計をしている会社はこの他にもたくさんあるよ。
EPCとは
設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設・試運転(Construction)の3つのフェーズからなる大型設備やプラントなどの据え付け・建設に関して使用される用語。
プラント設計者の年収は?
プラント設計者の年収は、平均して500~700万円程度といわれています。
経験年数や専門知識、企業規模などによっても異なりますが、平均的なサラリーマンの年収が430万円(2019年)なので、それより高いです。
責任の大きい役職に付けば、年収1000万円を超えることも可能です。
プラント設計に活かせる資格
プラント設計の仕事をするために、「これは絶対にないといけない」という資格はありません。
しかし、下記の資格を持っていることで転職に有利になることがあります。
- 技術士
- 電気工事士
- 電気主任技術者
- 施工管理技士
- 一級建築士
私は一級建築士を持っていることを評価されて、現在のプラント設計会社に転職したよ。
プラント設計士の一日
仕事内容は日によって変わりますが、通常業務の1日のスケジュールを紹介します。

残業は忙しい時期にはどうしても多くなりますが、仕事が落ち着いているときは定時で帰ります。
筆者のひと月の残業時間は平均20時間、多くて40時間以内です。
プラント設計をやっていてよかったこと
大きな仕事ができる
プラント施設は広い土地にたくさんの設備を配置する、規模の大きな仕事です。
事業費も数億円以上と、金額的にも高額なプロジェクトを扱います。
仕事の大小がすべてではないですが、プラント設計はやりがいのある仕事です。
プレッシャーがかかることも多いですが、そのぶん竣工時の達成感は大きいです。
多くの分野の知識を学べる
プラントの設計には、機械、電気、計装、制御などの幅広い知識が必要です。
大変ですが、日々の業務のなかで多くのことを学べて、自分の成長が実感できます。
出張でいろんな場所へ行ける
プラント設計をする企業は日本全国、企業によっては世界中で施設を建設しています。
そのため、出張でいろんな場所へ行けます。
難点は、建設地が海沿い、山沿いの田舎が多いこと。
理由は、
- 大規模なプラントには広い土地が必要
- 資材の搬送に有利な場所(船で材料を搬送できる海沿い)
- 騒音問題
などが考えられます。
それでも出張は楽しい!出張のいいところは仕事よりも食事だけどね!
プラント設計に必要な能力
プラント設計をする上で、私が必要だと思う能力は以下です。
- 専門知識
- コミュニケーション能力
- 問題管理能力
- 時間管理能力
- プレゼンテーション能力
- 経験
専門知識
プラント設計には機械、電気、計装、制御など、様々な分野の専門知識が必要です。
設備や機器の仕様、設置場所、プロセスの流れなどを理解することが求められます。
コミュニケーション能力
プラント設計は多分野の専門業者と協力して設計を進めていきます。
そのため、コミュニケーション能力が高く、チームをまとめる力が求められます。
問題解決能力
プラント設計を進めるなかで、予期しない問題が発生することもあります。
そのため、問題を早期に発見し、解決する能力が必要です。
時間管理能力
プラント設計は期限を厳守することが求められます。
また、複数のプロジェクトを同時進行することも多いため、スケジュール管理能力が必要です。
プレゼンテーション能力
プラント設計では、上司やクライアントに対して提案を行うことがあります。
要点をまとめ、わかりやすく伝えるプレゼンテーション能力が必要です。
経験値
プラント設計には経験が求められます。
過去の設計で得た経験を次のプロジェクトに活かし、より良いプラントを目指しましょう。
はじめはこれらの能力がなくても、仕事をしていく中で自然と身に付いていくよ。
プラント設計はこんな人におすすめ
スケールの大きい仕事をしたい
プラント設計は物理的にも、金額的にも規模の大きな仕事ができます。
「とにかく大きな仕事がしたい」という人には、プラント設計はぴったりの仕事と言えます。
探究心が強い
プラント設計は普段の生活では見聞きすることのない施設を設計します。
- 機械
- 電気
- 計装
- 制御
上記の専門的な知識を身につける必要があります。
機械を扱うのが好きで、「興味あるものはとことん追求したい」という探求心の強い人は、プラント設計に向いています。
いろんなところへ行きたい
プラント設計は、日本中の様々な土地の施設を計画します。
現場がスタートすると、単発の出張や中・長期の出張もよくあります。
仕事でいろんなところへ行きたいという人は、プラント設計は楽しみながら仕事ができるでしょう。
私の勤める会社では、出張で47都道府県をほぼ制覇している人もいるよ。
プラント設計がおすすめできない人
プラント設計は、どんな人にもおすすめできる仕事ではありません。
下記に当てはまる人は、プラント設計会社への転職前によく考えましょう。
出張が嫌い
プラント設計は出張の多い仕事です。
設計段階では、協力業者と打合せをしたり、現地での役所や消防への申請業務などがあります。
設計が終わり、プラント建設が始まると数週間~数ヵ月の長期出張に行かなければならないこともあります。
出張が嫌いな人、家族と少しの時間でも離れたくない人は、長期出張は辛いかもしれません。
最近はリモート会議や、メールと電話で完結する申請業務も増えてきたけど、現地に行かないとできない仕事はまだまだあるよ。
残業時間はゼロにしたい
プラント設計は、施設の稼働日が決まっています。
どんな仕事も期限を守るのは当然ですが、プラント設計もスケジュール管理はとても重要。
納期を守るためには、どうしても残業をしなければならない日もあります。
「なにがなんでも残業したくない!」という人は、プラント設計はおすすめできません。
意匠設計にこだわりがある
プラント設計で意匠的にこだわれる部分はほぼありません。
大切なのは設備の配置や使いやすさ、環境への配慮などです。
プラント設計の仕事に慣れると、意匠を気にしなくていいのは楽な部分だと感じています。
しかし、意匠にこだわりたい人にとっては、プラント設計では楽しみを感じられないかもしれません。
まとめ:プラント設計は成長できてやりがいのある仕事!
プラント設計は、私たちの生活に密接に関わる施設をつくる仕事です。
プラント設計という仕事を知らなかった人も、確実にその施設によって日常を支えられています。
- スケールの大きい仕事をしたい
- 探求心が強い
- いろんなところへ行きたい
こんな人はプラント設計に向いています。
新しい技術の導入を考えたり、海外で仕事をしたいという人にもピッタリの仕事です。
プラント設計をすれば、確実に自身の成長にもつながり、キャリアを広げることができます。
「社会に貢献し、やりがいのある仕事をしたい!」そんな人は、ぜひ次の仕事にプラント設計を選んでみてください。